認知症と自動車運転
認知症高齢者の自動車運転という論文を読んでいます。
平成29年度の改定道路交通法で認知症高齢者に厳しくなったという意見が増えてきていますね。僕自身も内容を切り取ってみると厳しいなぁという印象です。
でも、急に厳しくなったのかと問われれば実はそうではなく、もう15年ぐらい前から認知症高齢者の運転って厳しくなりつつあるんですよね。
わが国における運転免許制度の変遷
平成 9 年:75 歳以上に高齢ドライバー標識(通称もみじマーク)の努力義務
平成10 年:運転免許自主返納制度の開始,75 歳以上の更新時に高齢者講習の義務付け平成 13 年:高齢者講習の対象を 70 歳に引き下げ
平成 14 年:「6 か月以内に回復の見込みがない認知症」と診断されれば免許取り消し、6 か月以内に回復の見込みがある認知症の場合は免許停止と 6 か月ごとの評価
じつは、運転免許証返納制度も20年ぐらい前から開始しているわけですね。
認知症となったら運転をやめなければいけないのか?
現状の道路交通法では、免許証の取り消しになるので、やめなければいけません。
しかし、本当にそうでしょうか?
認知症群は同年代健常群に比べて有意に事故が多いとする報告が多いが、CDR 0.5 あるいは 1 程度の軽度認知症群では同年代健常群の事故頻度と大差ない。欧米のガイドラインでは、CDR 2 以上では運転中止を強く勧告すべきだが、CDR 1 では事故経験や運転状況などを考慮して判断するとされている。
諸外国であれば軽度認知機能低下程度ならば運転をやめる必要はないとの見解が高まっています。
高齢者事故の特徴
第1 当事者率が高い。
朝から夕方までの明るい時間帯の事故が多い。比較的小さな交差点での事故が多い。
出会い頭事故,追い越し時接触事故,左折時巻き込み事故など法令違反別では,一時不停止,信号無視, 優先通行妨害,安全不確認,ブレーキ操作不適,などが多い
高齢者事故の特徴としても、運転時間はかなり気を付けてくれているようですが、慣れた道での不注意事故が多いという特徴があるようです。また、慣れた道でのだろう運転が多く、法令違反(一時停止無視や優先道路無視)をする人も多い。自分ルールで運転して事故を起こしている傾向があるということがわかります。
つまり、運転について過信ししたり、法令よりも、いつもの感じの自分ルールを優先させる人は危険ということがわかります。
ここからわかることは、認知症だと交通事故を起こしてしまうというのは結構誤解な面もあり、自分の運転を常に安全運転できていると思い込んでいたり、自分ルールを優先させる様な場合は、運転を控えたほうがいいということがわかります。
ただし、認知症になるとそのような性格になりやすい傾向があります。
【参考文献】
飯島 節,藤田佳男,池田恭敏,三村 將:認知症高齢者の自動車運転
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